2020年11月15日、日体大長距離記録会5,000m最終組での出来事です。
全国高校駅伝を1か月前に控え、このあたりでドカンと自己ベストを出して来月の駅伝に勢いをつけたいと、伊藤大志選手は意気込んでいました。
そんな最終組を走る伊藤大志選手に、なんとも心強い相棒が一緒に走っているではないですか!
そう、佐久長聖の大先輩、上野裕一郎監督(選手?)です。
その上野監督、3,000m過ぎで外国人ペースメーカーの前に出て、明らかに伊藤大志選手を引くような動きを見せているではないですか!
意図的はどうかはわかりませんでしたが、私には佐久長聖のつながりを感じずにはいられませんでした。
そんな伊藤大志選手は残り1周まで上野監督の後ろにつき、最後の1周でラストスパートで一気に上野監督の前に出てそのままゴールしました。
石田洸介選手の高校記録には及びませんでしたが、見事13:36:57で歴代高校2位の大記録を達成しました。
そんな超高校記録を持つ伊藤大志選手の高校時代の活躍を振り返ると同時に、進学する早稲田大学での箱根駅伝デビューの可能性について考えます。
あわせて伊藤大志選手のプロフィールや、中学時代からの主な成績も紹介します。
伊藤大志 進学先は早稲田大学に決定
2020年11月、伊藤大志選手の早稲田大学への入学が決定したとのニュースが飛び込んできました。
佐久長聖⇒早稲田大学へのラインで思い浮かべるのは、やはり大迫傑選手ですね。
さらには現在所属している中谷選手も同じラインです。
2人とも大学時代には大活躍していますので、伊藤大志選手も2人に負けないよう、大活躍を期待したいですね。
特に中谷選手とは同郷となりますので、同郷の偉大な先輩と一緒に練習ができることは、伊藤大志選手にとってもプラスに働くと思います。
伊藤大志選手 気になる来年の箱根駅伝での活躍は? 出場はある?
伊藤大志選手の5,000mの持ちタイムは、早稲田大学に入学した時点でトップということになりますので、ケガ無く夏合宿を乗り越えれば、十分に主要区間での出場の可能性があるとみていいでしょう。
2021年箱根駅伝・早稲田大学のオーダーと結果
まずは2021年の早稲田大学の箱根駅伝区間配置と記録を確認しましょう。
区間 | 選手名 | 区間記録 | 区間順位 |
1区 | 井川龍人(2) | 1:03:17 | 5位 |
2区 | 太田直希(3) | 1:08:17 | 13位 |
3区 | 中谷雄飛(3) | 1:03:29 | 6位 |
4区 | 鈴木創士(2) | 1:03:03 | 3位 |
5区 | 諸冨湧(1) | 1:17:06 | 19位 |
6区 | 北村光(1) | 58:55 | 8位 |
7区 | 宍倉健浩(4) | 1:04:22 | 8位 |
8区 | 千明龍之佑(3) | 1:04:55 | 5位 |
9区 | 小指卓也(2) | 1:09:28 | 4位 |
10区 | 山口賢助(3) | 1:11:07 | 7位 |
井川選手がまずまずの滑り出しをしたものの、続く太田選手と中谷選手は12月の日本選手権の疲れからか、思ったような走りができませんでした。
4区鈴木選手で巻き返すものの、ルーキーで山登りを任された諸富選手がまさかの大失速で、往路は11位とシード権争いに巻き込まれてしまいます。
復路は安定して全員1桁の区間順位と巻き返し、小指選手の好走もあってなんとか総合6位に滑り込みました。
2022年箱根駅伝での伊藤選手の区間配置を予想する
ここ数年早稲田大学の相良監督は、複数人の1年生を箱根に起用していることから、伊藤大志選手がケガなく1年間過ごすことができれば、箱根駅伝の出場はほぼ固いとみています。
区間配置はどうでしょう?
- 1区⇒40%
- 2区⇒0%
- 3区⇒30%
- 4区⇒10%
- 5区⇒20%
- 復路⇒0%
私はこのように予想しました。
第1候補は1区です。
一昨年の中谷選手のように、スピードのある選手を1区に持ってくるオーダーは王道であると考えます。
伊藤大志選手は十分スパート力もありますので、六郷橋の下りまで集団に喰らいつくことができれば、区間賞の可能性も否定できません。
第2候補は3区です。
下り基調のコースはスタミナが不十分な1年生でも十分対応することができ、伊藤大志選手のスピードを最大限活かせる区間でもあります。
2021年に区間賞を獲得した東海大の石原選手や、2020年に好走した駒澤大学の田澤選手のように、ルーキーを3区に投入する大学がここ数年増えてきています。
十分ありえる区間配置だと思います。
第3候補は5区です。
早稲田大学の2021年のオーダーをよく見てください。
なんと、1年生を使った区間が特殊区間である5区と6区となっています。
さすがに相良監督も適性をみて判断したとは思いますが、こういった思い切ったことができるのも相良監督の特徴です。
伊藤大志選手の走り方を見ていると、なんとなくですが、あの柏原さんに似ているような気がするのは私だけでしょうか?
腕の位置が低めで、大きい腕振りで推進力を得る走りは、山登りに向いていると思います。
5区、もしかしたらありえるかもしれません。
この他、4区にも可能性があると思いますが、復路の可能性はほぼないと思っています。
とにかく伊藤大志選手は、1年目から早稲田大学の主力として活躍してくれると予想しています。
伊藤大志選手 2020年全国高校駅伝は1区区間5位
11月15日の日体大記録会で石田選手に次ぐ高校生歴代2位の記録を打ち出し、満を持して挑んだ都大路の決戦。
伊藤大志選手は花の1区を任されました。
石田選手がスタートから飛び出す中、慌てずに集団の中で淡々とレースを進めます。
5kmすぎで石田選手を吸収しますが、続いて7km手前から洛南・浜松商業・九州学院の3校が抜け出します。
その集団に加わることはできませんでしたが、慌てずに自分のペースで第2集団を引っ張ります。
そしてそのまま最後まで第2集団を引っ張り続け、区間5位でゴールしました。
最高の走りとは言えなかったかもしれませんが、最上級生らしい粘り強い走りで、佐久長聖高校に流れをもたらしました。
伊藤大志選手のプロフィール
名前:伊藤 大志(いとう たいし)
生年月日:2002年
出身:長野県駒ケ根市
身長:171cm
体重:52kg
経歴:駒ケ根市立赤穂中学校
佐久長聖高校
早稲田大学
伊藤大志選手は、駒ケ根市のスポーツ少年団で小学校2年生の時から陸上競技を始めます。
順調に成長した伊藤大志選手は、中学3年生の時にジュニアオリンピックに出場し、見事3,000mで2位に入ります。
そしてそのまま長野県の名門、佐久長聖高校へ進学します。
1年生の時から頭角を現した伊藤大志選手は、
- 国体3,000mB⇒8:27:32【第2位】
- 全国高校駅伝3区3km⇒8:24【区間10位】
とルーキーイヤーから大活躍をします。
そして2年目の国体も5,000mで3位に入賞、全国高校駅伝にも出場するなど、順調に成長します。
そして迎えた3年生。
新型コロナウイルスの影響で思ったような練習が出来ない上に、左脚を骨折。
目標にしていたインターハイも中止に追い込まれます。
しかしそんな逆境にもめげずにコツコツと練習を積み重ね、11月の記録会では歴代高校2位の13:36:57の記録を出し、翌月の全国高校駅伝でも好走を見せました。
早稲田大学への進学が決まった伊藤大志選手。
これからの活躍が楽しみですね。
伊藤 大志
主なレース結果と自己ベスト
自己ベスト(2021年2月現在)
- 1,500m:3:57:72 (2020年)
- 3,000m:8:22:94 (2019年)
- 5,000m:13:36:57(2020年)
- 1,0000m:29:42:24(2020年)
- ロード10㎞:記録なし
- ハーフ:記録なし
主な記録と結果
2016年度(中学2年生)
第55回中学校総合体育大会3,000m決勝
9:52.06【第12位】
2017年度(中学3年生)
第44回全日本中学校選手権3,000m決勝
8:38:71【第5位】
第48回ジュニアオリンピック3,000m決勝
8:33:82【第2位】
第23回全国都道府県対抗男子駅伝2区3㎞
8:43【区間14位】
2018年度(高校1年生)
第73回国民体育大会3,000mB決勝
8:27:32【第2位】
第69回全国高校駅伝2区3㎞
8:24【区間10位】
2019年度(高校2年生)
第72回全国高校総体5,000m決勝
14:46:62【第15位】
第74回国民体育大会5,000mA決勝
14:01:18【第3位】
第274回日体大記録会5,000m
13:59:76
第70回全国高校駅伝3区8.1㎞
24:22【区間18位】
2020年度(高校3年生)
第281回日体大記録会5,000m
13.36.57【PB】
第71回全国高校駅伝1区10㎞
29:14【区間5位】
まとめ 底知れない力を秘めた伊藤大志選手は、早稲田大学の箱根制覇の救世主となるか
石田洸介選手とは違い、常に世代トップを引っ張ってきたわけではない伊藤大志選手ですが、だからこそまだ底を見せていない不気味さが残っている選手だと思います。
早稲田大学の4年間で、誰よりも伸びる可能性を秘めた伊藤大志選手の今後の活躍から目が離せません。
何より2022年の箱根駅伝で何区を走るかが、今から楽しみで仕方がありません。
個人的には5区の山登りに挑戦して、「新・山の神」の称号を得ることを楽しみにしています。
コメント