【日本記録続々!】2020年第104回陸上日本選手権長距離観戦記 新谷&相澤

2020年日本選手権長距離

大阪市発着のGoToトラベル中止決定!

そのニュースは11月24日、日本選手権の10日前に流れてきました。

「やはりな…」

仕事中、会社の端末からそのニュースを知った私は、半分残念そうな、もう半分は少しほくそ笑んた表情でつぶやきました。

大阪市内は危ないと踏んで、神戸空港発着、神戸市内宿泊のプランを組んでいた私は、この瞬間に何があっても絶対に現地観戦することを覚悟したのでした。

結果的に2つの日本記録を産んだこの大会に現地で参加できたことは、本当に一生の宝物となりました。

現地は厳しい感染対策が実施されており、座席もかなり感覚を開けての配席となっていました。

さらに掛け声の応援も禁止、拍手とエアメガホンのみでの応援と、かなり特殊な条件での開催となりました。

そんな中で日本記録が生まれた10000mの2レースを中心に、第104回日本選手権長距離の様子を振り返っていきたいと思います。

目次

第104回日本選手権長距離のみどころ

3000m障害

女子

3000メートル障害スタートリスト

 

圧倒的な走力をもった選手はいません。

オリンピック参加標準が9分30秒00と非常に高く、今回出場するメンバーの自己ベストが最高でも参加標準まで15秒以上あるという、とても厳しい状況でした。

前回優勝した大東文化大学の吉村選手と、クロカン覇者の石澤選手の一騎打ちが予想されます。

男子

3000メートル障害男子

 

男子の注目は対象期間外とはいえ、既に参加標準を突破している三浦選手だったのですが… 残念ながらレース数日前に怪我があったようでDNSとなりました。

ですが、男子は参加標準である8分22秒00を狙える選手が複数人います。

塩尻選手は言わずと知れたこの種目の第1人者で、2016年のリオオリンピック同種目の参加選手でもあります。

また、前回優勝者の阪口選手もいますし、青木選手は今シーズン好調です。

そして日本人参加者の中で今シーズンベストタイムを出している山口選手も優勝争いに絡んでくるでしょう。

オープン参加のキプラガット選手のペース次第では、参加標準にも手が届きそうです。

5000m

女子

5000メートル女子

 

女子5,000メートルは注目すべき種目です。

有力な選手は数多くいますが、その中でも田中選手廣中選手の実力が頭2つ程抜けています。

私は最初から2人が抜け出すと見ています。

廣中選手がラストスパートが切れる田中選手に勝つためには、ラスト2周の時点で勝負ありにしないといけません。

どこかのタイミングで必ず廣中選手がペースをあげ、2分台のラップをたたき出してくると見ます。

男子

5000メートル男子

 

男子は参加標準を狙えそうな遠藤選手の欠場が大きく響きますが、この1年で大きな成長を遂げた坂東選手を始め、前回覇者の松枝選手や中央大学の1年生ながらU-20の日本記録を更新した吉居選手など、参加標準を狙える選手が複数人います。

外国人選手にいかに楽につけるかが勝負のポイントとなりそうです。

10000m

女子

10000メートル女子

 

この種目だけは、日本記録確実といってもいいかもしれません。

おそらく最初の1周目から「新谷劇場」になるのではと踏んでいます。

1周73秒~74秒のペースを最後まで揃え、30分40秒を切るタイムで日本記録を更新するのではないでしょうか??

おそらく半分以上の選手が周回遅れになるでしょう。

個人的にはこの種目が一番の楽しみでもあります。

男子

10000メートル男子

 

男子は出場選手が多いため2組に分かれてのタイムレースとなりました。

この種目はオリンピックの参加標準記録が現在の日本記録を1秒上回るというかなり厳しい条件となっております。

今回のメンバーでもさすがに厳しい展開が予想されます。

しかしタレントはとても豪華です。

帰国している大迫選手を始め、久々にトラックに帰って来た佐藤選手、今年の箱根駅伝を沸かせた相澤選手伊藤選手と、有力選手はずらりと並んでいます。

第104回陸上日本選手権長距離 観戦記

凄くいい席の写真
かなりな良席

当日まで

 

11月16日(月)のチケット発売時点で、コロナの第3波は確実となっており、いつGoToが中止になってもおかしくない状況でした。

とりあえずチケットだけは確保しようと、仕事中(ごめんなさい)だったがこそっとテーブル付きのS席をゲット!!

宿を抑えたのは本当にギリギリの11月22日でした。

おそらく大阪はGoTo除外になるであろうと見越して、神戸市内のホテル&神戸空港発着のプランを選択。

これが見事にはまり、冒頭でも書いた通り、GoTo予約の2日後に大阪市内発着の旅行はGoToから外されました。

兵庫県は現知事になってからはかなり対応が後手後手に回っているので、この時期の除外はないと思ってはいましたが、前日まではヒヤヒヤものでした。

そして1週間前からは、当日の現地天候のチェックを欠かさず毎日3回ずつに行っていましたw

天気はあまり心配なさそう。後は気温と風。

特に風の強弱は記録に大きく関係してくるので、1日前に風が強くないことを確認した瞬間、「よし! 間違いなく日本記録が複数出る!」と何故か確信に近い思いを抱いていました。

ちなみに奥さん以外には誰にも大阪に行くことは伝えませんでした。

余計な心配を掛けたくないし、だからといって行かないのも嫌だったので。

感染対策だけは万全を取りました。

なるべく人との接触を避ける為、当日は羽田空港6時50分発の始発フライト&帰りも同じく神戸空港を7時5分のフライトにしました。

もちろんその方が安いっていうのもあったのですが…

食事も全てコンビニで済ませ、必要なこと以外は一切人とは会話をしませんでした。

そんなんでおもしろいの? と思うかも知れませんが、今回の日本選手権は、もうめっっっっっっちゃ面白かった!! 笑

当日レースまで

ヤンマースタジアム長居
絶好のコンディション!

会場には13時半ころ到着。

選手が続々と会場入りしています。

今回は出待ち等が禁止なので、遠くの方から見守っていました。

そんな中でも、富士通の坂東選手は本当に背が高く、めっちゃ遠くにいるのに、一発で分かるほどでした(多分190センチ以上あるんじゃないかと…)

住友電工の渡辺監督がかなりほっそりしていたのと、富士通の松枝選手は結構近くで見たのですが、かなりのイケメンでしたw

14時半に開場です。

今回は全国的に集客をしましたが、感染対策として、1席ずつ感覚を空けての配席となっており、来場者数は約3,000人程だったと思います。

いよいよレース

15時半に女子の3,000m障害からレースがスタートしました。

レースは予想通り大東文化大学吉村選手とエディオン石澤選手の一騎打ちとなり、吉村選手の転倒もあり、石澤選手が2年ぶり2回目の優勝を遂げました。

レースの模様はこちらからどうぞ

 

 

続いては男子3,000m障害。

途中でかなり痛いアクシデントが… 

  

荻野選手かなり痛そうですね… この後本人からは無事でしたとのツイートがあったので、一安心です。

 

 

限界スレスレで競技をしているとこういうこともあるんですね…

レースの方は残り1キロで山口選手楠選手が抜け出し、最後は山口選手が振り切って1着でゴール!

惜しくも参加標準記録には届きませんでしたが、積極的なレース運びは今後に期待が持てる内容でした。

レースはこちらからどうぞ!

 

 

続いては5,000メートル男子。

序盤から外国人選手がいいペースで引っ張ります。

3,000メートルの時点ではほぼオリンピック参加標準とほぼ変わらないタイムで通過。

この時点では坂東選手、松枝選手、吉居選手、川瀬選手が残っていましたが、1周するたびに1人ずつ脱落していき、最後は坂東選手が外国人選手に喰らいつきます。

坂東選手は最後まで垂れることなくつきますが、参加標準13分13秒には一歩及ばず13分18秒でした。

しかし坂東選手はまだ実業団2年目の選手。

大学生時代も活躍はしましたが、ここまで伸びてくるとは、正直誰が想像したでしょうか?

このまま成長を続ければ、きっと参加標準記録は突破してくれそうです。

レースはこちらからどうぞ。

続いては女子5,000メートル。

いよいよ日本記録の匂いがするレースが始まりました。

しかーーーーし、最初の1キロでその匂いは立ち消えに…

牽制しないと思われていましたが、廣中選手が意外なことに自重しています。

私はこの時点でかなりかっがりモードに…

ただそれは、記録にがっかりしただけ。

勝負はかなり胸熱の展開に。

2,000メートルから廣中選手が予想通り急激なペースアップを図り、あっという間に田中選手と2人きりに。

なんとか引き離そうとする廣中選手と、必死に食らいつく田中選手

そのままレースは残り1周へ。

最後に廣中選手がスパートを掛けますが、やはり最後のスピードの切れ味は田中選手でした。

田中選手の最後の1キロはなんと2分51秒!!

男子顔負けのスピード決着でした。

レースはこちらからどうぞ

 

 

お次はいよいよ大注目の女子10,000メートルです。

どんな新谷劇場を見せてくれるのか、とても楽しみです。

レースが始まると、新谷選手の前にひときわ小さい選手が飛び出しているではないですか!

そうです。積水のチームメイトでプリンセス駅伝では圧倒的な力で1区区間賞を取った佐藤早也加選手です。

一瞬どうしたのかと思いましたが、1周した時に気付きました。

新谷選手の為に引っ張っているんだ!!

なんというチームプレイでしょう。

日本選手権は1年に1度の大勝負の場です。

いくらマラソンに主眼を置いている佐藤選手とはいえ、この大会で参加標準を切って来年の日本選手権で上位に入れば、オリンピック出場も手が届くところにあるにも関わらず。

この展開に、既に泣きそうになっている私…

そして3分2秒、3分6秒ときっちり2000メートルを引き終え、一気に新谷選手が前に出ます。

マラソンオリンピック内定の一山選手も1,000メートル付くのがやっと。

3,000メートルからは一人旅の独壇場に。

5,000メートルの通過がなんと15分7秒!

先程行われた5,000メートルの廣中選手フィニッシュタイムと同タイムで通過していくじゃありませんか?

凄い、凄すぎる! ちょっと次元が違う。

これならっひょっとするとアフリカ勢にも対抗できる可能性があるかもしれないと思える走りです。

その後もペースは全く落ちることなく、1周を73秒~74秒の間で機械のように走ります。

そして最後までその勢いは衰えを知らず、30分20秒という日本記録をなんと28秒も上回る大記録を打ち立てました!!!

 

新谷選手日本記録達成!

 

いやーーー、大興奮しました。

声を出してはいけないので、配られたヤマザキのエアメガフォンを思いっきり叩きすぎて空気が抜けてしまいました 笑

 

  

最後は男子10,000メートルです。

東京オリンピック参加標準は27分28秒00

この種目は最も参加標準を出すのが厳しいと正直思っておりました… すいません…

そんなあさはかな考えを裏切ってくれた3人の選手に本当に拍手を送りたいです!

レースは序盤から中国電力のコエチ選手がぴったり1周65秒で引きます。

5,000メートルまでは有力どころと言われる選手はほぼ付いています。

この時点で予感はありました。

7,000メートルを過ぎ、大迫選手佐藤選手も遅れ始め、唯一コエチ選手に喰らいつく伊藤選手

伊藤選手が行くならと、同学年の相澤選手も喰らいつきます。

まさに今年の箱根駅伝2区のデジャブーを見ているよう。

本当にこの2人はいつもセットです。

最後は相澤選手がコエチ選手を交わして日本記録を10秒上回る27分18秒でゴール!

伊藤選手も日本記録&オリンピック参加標準を上回る27分25秒でゴール!

田村選手も日本記録を上回る27分28秒台でゴールしましたが、残念ながら参加標準まで後0.9秒及ばずでした…

 

相澤選手日本記録達成!

 

本当に行ってよかった第104回日本選手権長距離

コロナ禍の中でしたが、本当に行って良かったです。

本当に複数の日本記録が生まれるとは!!

本来日本選手権は勝負の場所なので、日本記録は生まれにくいんです。

ですが、今年は独特の雰囲気があって、日本記録を皆で出そうという雰囲気がずっと漂っていました。

選手もある種の覚悟というか、潰れてもいいから前にいくという姿勢が見れました。

そんな中でも公言通り日本記録を達成してしまった新谷さんは本当にすごいとしかいいようがないです。

来年はおそらく5,000の出場権も狙って来ると思いますが、またしても日本記録を更新してしまうことでしょう。

そして翌日の記者会見で嬉しい発言がありました。

なんと、近いうちにマラソンにも挑戦するとのこと!!!

そしてやるからには、日本記録を狙うとも言っています。

今から楽しみですね!!

最後になりますが、大会を盛り上げてくれた全てのアスリートに感謝したいと思います。

一生忘れない日となりました。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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