あの都大路の大激戦、2020年全国高校駅伝花の1区で区間賞を獲得した、鶴川正也選手の進路が青山学院大学に決定!
今後4年間、原監督の指導を仰ぐことになりました。
5000m自己ベスト13分45秒28という、熊本が誇るスピードスターの高校時代の活躍を振り返ります。
あわせて鶴川正也選手のプロフィールや、中学時代からの主な成績も紹介します。
鶴川正也
進路は青山学院大学に決定
2019年の全国高校駅伝の1区では、佐藤一世選手が八千代松陰高校で区間賞を獲得し、青山学院大学に入部しました。
昨年に引き続き、2020年の全国高校駅伝1区の区間賞を取った鶴川正也選手を獲得したことで、青学は2年連続で、花の1区区間賞の選手を獲得したことになります。
青学は、東海の黄金世代メンバー、駒澤の田澤選手、順大の三浦選手や中央の吉居選手、そして今年度の農大二高石田選手のように、世代の1番手を獲得していません。
しかし、前述の佐藤選手や2020年箱根2区で好走した岸本選手のように、箱根駅伝に距離適性があって、かつ青学のカラーに合う選手をうまく獲得している印象があります。
鶴川正也選手がどんなランナーになるか、佐藤選手や岸本選手のように、ルーキーイヤーでの箱根出場となるか、今から楽しみです。
鶴川正也 気になる来年の箱根駅伝での活躍は? 出場はある?
原監督はルーキーでも力があれば、自信を持って主要区間にルーキーを投入する実績があります。
- 2015年 田村選手:4区区間記録
- 2016年 小野田選手:6区区間2位
- 2019年 飯田選手:8区区間2位
- 2020年 岸本選手:2区区間7位
- 2021年 佐藤選手:4区区間5位
いずれの選手も好走しており、自然と鶴川正也選手への期待も高まります。
ここで、鶴川正也選手が箱根デビューを飾るための条件をいくつかあげたいと思います。
鶴川正也選手箱根デビューの条件
- 夏合宿の練習消化度合い
- 出雲・全日本での快走
- 世田谷246ハーフでの快走
この3つがあげられます。
箱根デビューの条件その①
夏合宿の練習消化度合い
ここが第1関門であり、最大の山でもあります。
高校から大学に進学した年から、選手の走行距離は倍に伸びると言われています。
特に夏の合宿は1日に最長60キロを走るとも言われ、心身ともにタフさが求められます。
そんな中、ケガをして途中離脱をする選手が後を絶ちません。
急な月間走行距離の増加に加え、日ごろのケアなど、高校生までは通用していたことが一気に通用しなくなるのでしょう。
それでも自らを律し、夏合宿をフル消化で乗り切れば、箱根駅伝への出場はぐっと近づきます。
前年の岸本選手や一昨年前の飯田選手も、夏合宿での練習が評価され、箱根駅伝出場を果たしたルーキーの1人です。
箱根デビューの条件その②
出雲・全日本での快走
夏合宿を無事に乗り切ると、いよいよ3大駅伝が開幕します。
出雲や全日本のように、1区間が短い駅伝と箱根駅伝では、距離適性が違うとよく言われますが、それは別の話です。
原監督は選手の
駅伝力
を見極めているのです。
- 最初から突っ込んで前を追える勇気
- きついところから粘れる気持ちの強さ
- 緊張せず自分の力を出し切れる調整力
こういった能力に距離は関係ありません。
特に青山学院大学は、出雲・全日本にピークを合わせるのではなく、あきらかに箱根にピークを合わせに来ます。
ピークになっていない状態での快走は、すなわち箱根での快走をほぼ約束するのもだと考えてもいいでしょう。
箱根デビューの条件その③
世田谷246ハーフでの快走
出雲・全日本に出場できなくても、ラストチャンスが残されています。
全日本の翌週に行われる
『世田谷246ハーフマラソン』で快走することです。
ハーフマラソンという箱根に対する距離適性と、世田谷ハーフの特徴であるアップダウンを含むコースでの快走が、箱根の模擬試験として最適だからです。
実際このレースで快走した選手が箱根駅伝に毎年出場しています。
2017年 1:03:28 第3位 林奎介選手
⇒2018年箱根駅伝7区区間新記録
2017年 1:04:38 第7位 近藤修一郎選手
⇒2018年箱根駅伝10区区間2位
2018年 1:03:13 第2位 岩見秀哉選手
⇒2019年箱根駅伝4区区間15位
2018年 1:03:39 第4位 飯田貴之選手
⇒2019年箱根駅伝8区区間2位
2019年 1:03:40 第4位 湯原慶吾選手
⇒2020年箱根駅伝10区区間5位
毎年2人平均で出場しているほどなので、原監督がいかにこのレースを重要視しているかがわかります。
もし出雲や全日本に出場できなくても、ここで挽回すれば十分に出場の可能性はあるでしょう。
鶴川正也選手については、高校駅伝の最長区間10kmで区間賞を獲得しており、距離適性も問題なさそうですし、来年の箱根デビューも可能性としては大いにありですね!
鶴川正也 全国高校駅伝で区間賞の活躍
2020年全国高校駅伝花の1区で、見事区間賞を獲得した鶴川正也選手。
前半から飛び出した、世代最強の呼び声高い石田洸介選手(現東洋大)を冷静に追い、中間点で追いつきます。
浜松商業尾崎選手・洛南高校若林と共に集団を飛び出しますが、ここで一気に行くことはなく、2人の後ろに付け、ぐっと息をひそめます。
そしてラスト300mで一気にラストスパート!
前年度スパートのタイミングを誤って3位になった苦い経験を活かし、見事トップで中継所に飛び込みました!
鶴川正也選手のプロフィール
- 名前:鶴川 正也(つるかわ まさや)
- 出身:熊本県熊本市
- 身長:172cm
- 進路:熊本市立託麻中学校
九州学院高校
青山学院大学
中学時代はサッカー部に所属
陸上専念は3年生から
最初から陸上1本だったわけではなく、中学2年生まではサッカー部に所属していたようです。
おそらくサッカー部と掛け持ちしていたであろう中学2年生の時には、すでにジュニアオリンピックの熊本県予選に出場しています。
1500mを走って残念ながら4:18:67と参加標準には届きませんでしたが、翌年陸上に専念して迎えた県予選では3000mに出場し、見事優勝してジュニアオリンピック本選出場を決めています。
迎えたジュニアオリンピック本番でも、見事予選を組1位で突破。決勝でも石田選手の後塵を拝すものの、3位表彰台に入ります。
陸上を本格的に始めて半年でこの結果。センスしか感じませんね。
同学年のライバル関係
同世代の力関係をひも解くと実に面白いのが、ジュニアオリンピックの結果と2020年度の高校生5,000mランキングです。
2017年ジュニアオリンピック結果
- 1位:石田洸介:8:17:84
- 2位:伊藤大志:8:33:82
- 3位:鶴川正也:8:34:21
この年から3年後の2020年高校生全国5000mランキングでも
2020年高校生5,000mランキング
1位:石田洸介:13:34:74
2位:伊藤大志:13:36:57
3位:鶴川正也:13:45:28
なんと全く同じ結果になっているんです!
石田選手と伊藤選手に対する鶴川正也選手のライバル意識は、半端ないものがあると思います。
石田選手は東洋大、伊藤選手は早稲田とそれぞれ進学しますので、いつかは勝ちたいと日々の練習に励んでいることでしょう。
3人とも近年稀にみる好記録を残して卒業しましたので、大学でもルーキーイヤーからいきなり活躍する予感がひしひしと感じられます。
もしかしたら、来年箱根の主要区間でいきなり直接対決もあり得るかもしれませんね!!
鶴川正也
主なレース結果と自己ベスト
自己ベスト(2021年2月現在)
- 1,500m:3:50:63(2018年)
- 3,000m:8:22:34(2019年)
- 5,000m:13:45:28(2020年)
- 1,0000m:記録なし
- ロード10㎞:29:50(2018年)
- ハーフ:記録なし
主な記録と結果
2016年度(中学2年生)
第47回ジュニアオリンピック1,500m熊本県予選
4:18:67【第4位】
2017年度(中学3年生)
第48回ジュニアオリンピック3,000m決勝
8:34:21【第3位】
第42回甲佐10マイル公認ロードレース(5㎞)
15:21【優勝】
第23回全国都道府県対抗男子駅伝2区3㎞
8:31【区間3位】
2018年度(高校1年生)
第71回全国高校総体1,500m決勝
3:55:42【第15位】
第73回国民体育大会3,000m決勝
8:23:93【優勝】
第69回全国高校駅伝6区5㎞
14:25【区間3位】
第24回全国都道府県対抗男子駅伝1区7㎞
20:41【区間11位】
第3回アジアユース選手権3,000m決勝
8:42:09【第4位】
2019年度(高校2年生)
第72回全国高校総体5,000m決勝
14:17:78【第7位】
第74回国民体育大会5,000m決勝
13:58:62【第2位】
第70回全国高校駅伝1区10㎞
28:52【区間3位】
第25回全国都道府県対抗男子駅伝1区7㎞
19:49【区間4位】
2020年度(高校3年生)
第14回東海大記録会5,000m
13:45:28【PB】
第71回全国高校駅伝1区10㎞
28:56【区間賞】
まとめ 鶴川正也選手の駅伝力は2022年箱根駅伝の青学覇権奪回のキーマンとなりうる
鶴川正也選手の持ち味はスピードもさることながら、持ち前の勝負強さと安定感です。
2021年箱根駅伝で、青学が連覇を達成できなかった主な2つの理由は
- 駅伝力のない選手を使わざるを得なかった
- 安定感に欠けたデコボコ駅伝だった
この2つだと考えます。
鶴川正也選手のような試合で外さない安定感と、駅伝で区間賞を獲得する勝負強さは、今の青学に最も足りない人員です。
鶴川正也選手が1年間を通してケガなく安定して成長すれば、青学が2022年箱根駅伝で派遣を奪回する可能性が高まったといえるでしょう。
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