新しいエース候補?青山学院箱根2区ブレーキの中村唯翔は青学箱根駅伝覇権奪回のキーマンとなるか?

 

第52回全日本大学駅伝3区では、早大中谷選手、東海塩澤選手と秒差の区間3位と、箱根駅伝に出場に向けて駅伝力を見せつけた中村唯翔選手。

 

第97回箱根駅伝では、岸本選手と神林選手のケガの影響もありましたが、なんと花の2区に抜擢されます!

 

しかし当日は上手く調整がいかなかったのか、中村唯翔選手としてはブレーキと呼ばざるを得ない1:08:29と区間14位に終わります。

 

それでも、5,000m13分台と10,000m28分台、ハーフは62分台と、その実力は原監督も認めているところ。

いよいよ今年からは上級生となる2021年、中村唯翔選手の巻き返しはなるでしょうか?

この記事では、駅伝デビューとなった2020年度の活躍を振り返るとともに、2022年の箱根駅伝での活躍を予想をします。

 

あわせて中村唯翔選手のプロフィールと、今までの主なレース結果を紹介します。

目次

中村唯翔 第97回箱根駅伝2区 プレイバック

岸本選手の無念を晴らせるか

本来であれば、同級生の岸本選手が走ったであろう、2021年箱根駅伝花の2区。

残念ながら岸本選手はこの年、1年間ケガで苦しみ、箱根駅伝のエントリーにも間に合いませんでした。

そこで白羽の矢が立ったのが、2020年全日本大学駅伝で駅伝力を見せつけた中村唯翔選手でした。

岸本選手の為にも、そして何より青山学院大学連覇に向けた、非常に重要なミッションに挑みました。

取りあえず流れに乗って集団に食らいついた前半

1区吉田圭太選手が先頭と差のない18秒差の6位で走り、先頭が見えるいい位置でタスキをもらった中村唯翔選手。

早稲田太田選手、日体大池田選手と10,000m27分台の選手らと早々に3位集団を形成します。

一応流れに乗った形とはなりましたが、終始集団の後方で、いつ飛び出すかというより必死についていっている印象でした。

調整不足か? 実力通りの走りができなかった後半

10km過ぎまではなんとかついていったものの、そこから日体大池田選手のペースアップについていけず、徐々に後退してしまいます。

 

15.2km時点の権太坂の定点では、すでに区間順位を10位と落とし、苦しみ始めます。

そして最後の戸塚の壁にも苦しみ、最終的には1:08:29秒で区間14位という結果に終わります。

レース後のコメントでは、「権田坂の後から苦しくなった。状態は良かったけど、2区のプレッシャーはあったのかもしれない」と話しています。

 

私が見る限りでは本来の走りではなく、調整不足かな?と思う面はありましたが、中村唯翔選手本人はそんなことはなかったようですね。

 

やはり箱根は魔物が住んでいるのでしょうか?

今回の経験を活かして、2022年箱根駅伝につなげて欲しいものです。

中村唯翔 第52回全日本大学駅伝3区 プレイバック

重要区間3区に大抜擢

1年生の時は箱根駅伝のエントリーにも入れず、結局3大駅伝の出場もなかった中村唯翔選手ですが、2020年1月12日に行われた

『高根沢町元気あっぷハーフマラソン』

で好走し、注目を浴びるようになりました。

 

この大会では、惜しくも箱根のエントリーメンバーから漏れた選手、エントリーはあったものの当日走れなかった選手が大活躍します。

  • 第3位:中倉啓敏(1)1:02:26
  • 第4位:宮坂大器(1)1:02:26
  • 第5位:西久保遼(1)1:02:30
  • 第6位:新号健志(3)1:02:43
  • 第7位:中村唯翔(1)1:02:52
  • 第9位:早田祥也(2)1:03:00

※カッコ内は2020年1月当時の学年

なんと10位以内に6人の選手が入っており、しかも全ての選手が63分以内でゴールしているという充実ぶり。

さらにそのほとんどを1年生が占めているという、この時点で青学の2021年箱根駅伝連覇は堅いと思ったのは、私だけではないでしょう。

そんな中で1:02:52と好記録を出した中村唯翔選手。

コロナウイルスの影響もありましたがその後も練習を積み重ね、

  • 9月22日 日体大記録会
    ⇒13:55:47【当時PB】
  • 10月3日 国士舘記録会
    ⇒13:51:81【PB】

順当に5,000mの自己ベストを更新します。

そして迎えた11月1日の第52回全日本大学駅伝では、前半の重要区間とも言える3区に大抜擢されます。

他大学のエースに負けず劣らずの区間3位の力走

2018年のコース変更により、大幅な戦略変更を必要とされた全日本大学駅伝。

以前までは1区、2区、4区、8区にエース級を配置すればよかったのですが、コース変更で各大学が重要とする区間がわかれる大会となりました。

そんな中、3区は前半の重要区間と位置付けられ、当時東洋の大エースだった相澤晃選手もこの区間を任されています。

第52回大会も

  • 東海大:塩澤選手
  • 早稲田:中谷選手
  • 国学院:中西選手

と各大学のエースがひしめきます。

中村唯翔選手はそんなエースに全く引けを取らない走りを見せました。

1区の湯原選手から、19秒差の10位でタスキを受け取ると、4人を抜いて6位に浮上する力走を見せます。

区間順位も

  • 第1位:早大 中谷選手⇒33:42
  • 第2位:東海 塩澤選手⇒33:45
  • 第3位:青学 中村選手⇒33:46

日本選手権にも出場した2人に秒差での区間3位の素晴らしい結果でした。

中村唯翔は2022年箱根駅伝で活躍できるか?

まずは中村唯翔選手が2022年の箱根駅伝のエントリーメンバーに選ばれるかどうかの第1関門があります。

そもそも青山学院大学は、ハーフマラソンを63分前後で走れるランナーが10人以上いるので、いくら中村唯翔選手でも少しの油断でエントリーさえ危うくなります。

そこで、まずは中村唯翔選手が2022年箱根駅伝に出場するための条件を上げたいと思います。

  1. ハーフマラソンでの実績(自己ベスト)
  2. 全日本大学駅伝主要区間での好走
  3. 世田谷246ハーフマラソンでの好走

この3つのうちどれかを達成すれば、中村唯翔選手が2022年箱根駅伝を走る可能性はかなり高いと思います。

ハーフマラソンで実績を残したい

現在の中村唯翔選手のハーフ自己ベストは、前述した1:02:52秒となります。

はやり箱根を走る上で、記録として1番参考になるのはハーフマラソンのタイムです。

第97回大会で、原監督が3大駅伝未出走の中倉選手を10区に選んだ大きな理由の一つが、「ハーフでの実績」だと思っています。

 

中倉選手は前述の『高根沢町元気あっぷハーフマラソン』で、学生トップの3位になっています。

なので中村唯翔選手もハーフマラソンの自己ベストを更新するようなことがあれば、箱根出場への道が一気に開けてくると思います。

 

新型コロナウイルスの感染拡大で、軒並みレースがなくなっている中、2021年3月14日に『第25回日本学生ハーフマラソン』が無観客で行なわれることが決定しました。

 

中村唯翔選手もエントリーリストに名前が載っています。

2020年10月に行われた箱根駅伝予選会の会場と同じ、高速コースの立川駐屯地で行われるこの大会で、箱根のリベンジを狙っていることでしょう。

 

ここで自己ベストを出すことができれば、原監督も安心して箱根駅伝で中村唯翔選手を起用できるのではないでしょうか?

全日本大学駅伝での好走

原監督は例年、全日本大学駅伝で好走した選手を箱根駅伝でもメインとして出走させています。

前年度の中村唯翔選手も、まさにその通りのパターンでした。

2020年の全日本大学駅伝に出走したメンバーで、箱根に出走していないメンバーは

  • 神林キャプテン
  • 山内健登選手

この2選手だけです。

神林選手はケガのため、箱根駅伝のエントリメンバーから外れています。

 

山内選手は6区であまりいい走りができていなかったので、同じくエントリーメンバーから外れています。

全日本大学駅伝に出走してある程度の成績を収めれば、中村唯翔の箱根駅伝への出走は、ほぼ間違いないとみていいと思います。

世田谷246ハーフマラソンでの好走

もし全日本大学駅伝のメンバーに選ばれなかったとしても、ラストチャンスが残されています。

全日本の翌週に行われる

『世田谷246ハーフマラソン』

で快走することです。

2020年はコロナの影響で中止となりましたが、毎年青山学院大学の選手が大挙して参加する大会です。

全日本組は、キロ3分半のペース走で練習の一環として参加しますが、全日本のメンバーに選ばれていない選手にとっては箱根を走るラストチャンスとして、鼻息荒く登場します。

実際このレースで快走した選手が箱根駅伝に毎年出場しています。

2017年 1:03:28 第3位 林奎介選手
⇒2018年箱根駅伝7区区間新記録

2017年 1:04:38 第7位 近藤修一郎選手
⇒2018年箱根駅伝10区区間2位

2018年 1:03:13 第2位 岩見秀哉選手
⇒2019年箱根駅伝4区区間15位

2018年 1:03:39 第4位 飯田貴之選手
⇒2019年箱根駅伝8区区間2位

2019年 1:03:40 第4位 湯原慶吾選手
⇒2020年箱根駅伝10区区間5位

毎年2人平均で出場しているほどなので、原監督がいかにこのレースを重要視しているかがわかります。

もし出雲や全日本に出場できなくても、ここで挽回すれば十分に出場の可能性はあるでしょう。

中村唯翔 プロフィール

 

中村唯翔選手のプロフィール
  • 名前:中村 唯翔(なかむら ゆいと)
  • 出身:千葉県流山市
  • 身長:174cm
  • 体重:57kg
  • 好きなタレント:西野七瀬
  • 進路:流山南部中学
       流通経済大付属柏高校
       青山学院大学

陸上は高校から?

調べたところ、佐藤一世選手と同じく中学時代はサッカー部だったそうです。

中学生時代では、2015年の千葉県駅伝大会に出場しています。

いわゆる他の部活から選手を借りてくるっていうやつですね。

しかしそんなぶっつけ本番のような大会でも、

2015年千葉県中学校駅伝
中村唯翔選手結果
3区3.08km
9:28【区間6位】

このように47チーム中区間6位で走っているので、やはりただものではなかったんですね。

中村唯翔選手はスポーツが盛んな流通経済大付属柏高校に進学します。

流通経済大付属柏と言えば、青学OGで現SGホールディングスで活躍する鈴木塁人選手の母校でもありますね。

青学に進学を決めたのも、鈴木選手の影響が少なからずあったのだと思われます。

それにしても高校3年間の陸上経験で青学に入れるんですから、かなりの素質を持っていたのでしょう。

中村選手の高校時代の活躍

さすがに陸上を始めたばかりという事もあって、初年度の高校1年生の時はかなり苦労をしていたようです。

1年生の時点での5,000mのベストは15:24:39と、15分を切れなかったようです。

それでも2年生になると、4月の順天堂記録会で15分の壁を超える14:56:68をマークします。

続く9月の大東大の記録会では14:28:85と、一流大学のスカウト基準となる14分30秒をいきなりクリアします。

そして3年生になると、同じく4月の順天堂大会で14:19:43とさらに記録を更新します。

そして6月の南関東体育大会で出した14:13:53が、中村唯翔選手の高校時代の5,000m自己ベストとなりました。

残念ながら高校では全国大会への個人での出場や、流通経済大付属柏としての駅伝で目立った活躍はみられませんでした。

 

千葉県では当時、市立船橋や八千代松陰など名だたる高校があり、全国大会への出場は厳しい道でした。

 

特に八千代松陰は、現キャプテンの飯田選手や、全国高校駅伝1区日本人最高記録を2019年にたたき出した佐藤一世選手など、今ではチームメイトでもある強烈なメンバーがおり、全国大会への厚い壁がありました。

 

しかしそんな中、2017年に行われた千葉県予選大会では、1区で中村唯翔選手が飯田選手に1秒先着して区間賞を獲得します。

さすが中村唯翔選手、すでに駅伝力はピカイチだったようです。

そしてそれを見逃さない原監督のスカウト、見事ですね。

中村唯翔 主な記録

自己ベスト(2021年2月現在)

  • 1,500m: 3:54:29(2018年)
  • 3,000m:9:05:16(2016年)
  • 5,000m:13:51:81(2020年)
  • 1,0000m:28.45.92(2020年)
  • ロード10㎞:30:04(2020年)
  • ハーフ:1:02:52(2020年)

 

主な記録と結果

2016年度(高校1年生)

第254回日体大記録会5,000m
15:24:39

第69回関東高校駅伝5区3㎞
8:59【区間22位】

2017年度(高校2年生)

第1回順大記録会5,000m
14:56:68

第7回大東大記録会5,000m
14:28:85

2017年高校駅伝千葉県大会1区10㎞
29:53【区間賞】

第70回関東高校駅伝1区10㎞
30:26【区間7位】

第254回日体大記録会5,000m
14:22:17

2018年度(高校3年生)

第71回南関東体育大会1,500m
3:54:29【PB】

第71回南関東体育大会5,000m
14.13.53

2018年高校駅伝千葉県大会1区10㎞
30:50【区間4位】

第71回関東高校駅伝3区8.1㎞
24:37【区間12位】

2019年度(大学1年生)

第14回世田谷246ハーフマラソン大会
1:03:45【第6位】

2019年10,000m記録挑戦会
29:22:99

第47回高根沢町元気あっぷハーフマラソン大会
1:02:52【第7位】

2020年度(大学2年生)

第280回日体大記録会5,000m
13:55:47

第1回国士大記録会5,000m
13:51:81【PB】

第52回全日本大学駅伝大会3区11.9km
33:46【区間3位】

2020年10,000m記録挑戦会
28:45:92【PB】

第97回東京箱根間往復大学駅伝2区23.1km
1:08:29【区間14位】

中村唯翔のリベンジはもうすでに始まっている

中村選手は1年掛けて今年の箱根のリベンジを狙ってくるはずです。

そのためにも、まずは3月に行われる日本学生ハーフでの好記録が期待されます。

そしてケガなく夏合宿を乗り切った後の、一回り大きくなった中村選手の勇姿を出雲駅伝から見たいものです。

青学の新3年生は粒ぞろいなので、少しでも油断したらレギュラーから落とされかねません。

そんなプレッシャーをガソリンに変えて、青山学院大学の新エースとして君臨して欲しいと思います。

今後の中村唯翔選手の活躍に期待しましょう。

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